話し言葉で脱落や縮約などの発音現象が生じるのは、ほとんど固有語の場合です。
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[이]が脱落し縮約が起きたケース
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①(우리→[울]) 엄마가 빨리 오랬어. うちのママが早く来なさいと言ってたの。
→우리の리の이が脱落し、우ㄹが울に縮約した形です。
②영희야, (이리로→[일루]) 와 봐. ヨンヒちゃん、こっちに来てみて。
→이리로の리の이が脱落し、일に縮約した後に로が付いた形です。さらにソウルやその周辺の地域での、助詞や語尾の母音[ㅗ]が[ㅜ]に変化する発音傾向(例:나하고[구]
같이、 그렇고[구] 말고[구])を受けて、[일로]が[일루]になったものと思われます。
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[러]が脱落し縮約が起きたケース
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①냉면 참 맛있다, (그렇지?→[그치]?) この冷麺すごくおいしい、そうよね?
→그렇지[그러치]の러が脱落した形です。書き言葉には用いませんので、書く際には注意が必要。
②(그런데→근데) 말이야, 좀 비싸지 않을까? ところがね、ちょっと(値段が)高くないかしら?
→그런데の러が脱落し、그とㄴが근に縮約した形です。근데は縮約形として書き言葉でも用いられています。(ただし、러が脱落し縮約が生じるのは그렇다の場合だけで、이렇다、저렇다の場合は生じません)
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[느]が脱落し縮約が起きたケース
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①(저는→[전]) 가고 싶지
않아요. 私は行きたくありません。 →助詞-는の느が脱落し、저ㄴが전に縮約した形です。
②(여기서는→여기[선]) 안 팔아요. ここでは売ってはいません。 →助詞-(에)서는の느が脱落し、서ㄴが선に縮約した形です。
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[르]が脱落し縮約が起きたケース
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①거기서 (무엇을→뭐를→뭘)
사셨어요? そこで何を買われましたか。 →助詞-를の르が脱落し、뭐ㄹが뭘に縮約した形です。
②물건이 별로 (좋지를→좋[질])
않아요. 品物があまりよくありません。 →助詞-를の르が脱落し、지ㄹが질に縮約した形です。 (この場合の-를は強調の意味を加える表現として用いられています)
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[애][얘]に縮約したケース
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①우리 (아이→애)는 대학생이에요. うちの子は大学生です。
→一部の語において母音[ㅏ]と[ㅣ]は縮約して[ㅐ]となることがあります。(例:사이→새「間」、파이다→패다「掘られる」)나이「年齢」などの場合は[내]にはなりませんので、注意しましょう。
②(이 아이→얘)가 왜 이렇게 귀찮게 굴지? この子はどうしてこんなにうるさがらせるの?(まとわりつくの?)
→아이の縮約形애の前に更に이が付き、얘に縮約した形です。
・その他の母音と[애]が更に縮約したケース
①아니, (저 아이→쟤)가 정말! 왜 이렇게 말을 안 듣지? いや、あの子ったら!どうしてこんなに言うことを聞かないの?
→저と애が쟤と縮約しています。그 애は걔となります。
②고향에 언제 가(냐고 해→내)요? 故郷にいつ帰る(行く)のかって。
→-(느)냐고 해요から느、고 ㅎが脱落し、-냐と해の[ㅐ]が縮約した形です。
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同一母音連続で、[이]が脱落し縮約が起きたケース
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①그 책이 그렇게 재밌니? その本がそんなにおもしろいの?
→재미있니?の미と있の連続する同一母音である이が脱落し、(미있が)밌に縮約した形です。
②그 떡볶이 맛있니? そのトッポキおいしいの?
→形容詞맛있니?の正しい発音は[마딘니]ですが、[마신니]と発音する理由は、맛있니?の元の言い方である맛이
있니?の発音の影響が考えられます。[마시인니]の시と인の이が連続するため、이が一つ抜けて[마신니]と発音されているものと思われます。
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同系の母音[에]が脱落したケース
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①(새해에→새해) 복 많이 받으세요. 明けましておめでとうございます。(新年に福をたくさん受けてください。)
→해と에が連続するため、[ㅐ]と[ㅔ]の発音の区別の出来ない世代では、助詞の-에を脱落させ慣用的な表現として使われています。
②(그때의→그때) 추억이 생생해요. そのときの思い出がいきいきとしています。
→때の母音[ㅐ]と助詞-의[에]が連続するため、助詞の-의を脱落させることがあります。
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너「君」や네「君の」が[니]と発音されるケース
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①(너→[니])네 집에 갈게. 君んちに行くね。
②(네→[니]) 친구는 왜 안왔니? 君の友達はどうして来ないの?
→「君の」という意味の네と、「私の」という意味の내の発音が若い世代では区別できなくなったため、네を[니]と発音することでその区別を図りたいものと思われます。ただし、너도「君も」や너를「君を」などの場合には、[너]と発音する。
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(자기「自分」という意味の)저や제が[지]と発音されるケース
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①(저→[지])가 뭐가 그렇게 대단하다고・・・. 偉そうに・・・。(自分が何がそんなに偉くて・・・)
②(제→[지]) 갈 길을 열고 싶답니다. 自分の行く道を開きたいんですって。
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[으]が脱落し縮約が起きたケース
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①(그것→그거→[거]) 왜 자꾸
그래? まったくまたどうして? →母音[으]は弱母音であるため脱落するものと思われます。同時に同一子音[ㄱ]も脱落しています。[거]には「それ」という意味はなく、間投詞として使われます。
②어느 게 (마음→맘)에 들어? どれが気に入った? →마음→맘、이 다음에→이
담에などは、母音の後に続く弱母音の으が脱落したケースです。
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[ㄹ]がだぶるケース
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①동생한테 (주려고→[줄려고])
해요. 弟にあげようと思っています。 →-(으)려で始まる語尾はㄹをだぶらせて発音します。また뭐로は[뭘로]、어느
거로は[어느걸로]と発音する傾向があります。
②전 (cola→콜라)로
하겠습니다. 私はコーラにします。 →外来語の[L]はㄹをだぶらせることによって表します。ハングルの発音習慣では母音間のㄹは[r]で発音されるので、もうひとつだぶらせ終声の[L]を発音することによって、原音の[L]を実現させるわけです。
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예が[이]と発音されるケース
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①너 요새 참 (예→[이])뻐졌다. 君、この頃すごくきれいになったね。 →예が[이]と発音されるのは、네が[니]と、제が[지]と発音されるのと同じ発音現象だと思われる。
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長母音の어が[으]と発音されるケース
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①그 사람은 (거→[그])짓말을 할 사람이 아니야. あの人はうそをつく人じゃないよ。
②이 컵이 좀 (더→[드])러운 것 같은데. このコップはちょっと汚いようだけど。
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[애]と発音されるケース
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①나한테는 좀 클 것 같(아→[애]). 私にはちょっと大きそうだよ。
②오늘은 회사가 쉬는 날이라(며→[매]). 今日は会社が休みの日って言ってたじゃない?(言ってながら・・・)
→ごく一部の用言において、어/아や여が[애]と発音されることがあります。같아が같[애]となる理由は歴史的に갇하다が같다と変化したため、하여が해に、つまり여が[애]と活用した名残りが口伝えで残っているものと思われます。また-<으>면서の縮約形である-<으>며の며が、話し言葉では[매]と発音されます。これも며の여が[애]となるため[매]と発音されるものと思われます。標準語の発音としては認められていませんが、割と多くの母語話者が発音しているので、聞き取りの際には注意が必要です。
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[우]が脱落し縮約が起きたケース
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①시대가 많이
바(뀌었→[꼈])잖아. 時代がすごく変わったじゃない。 →바뀌었の뀌の우が脱落し、끼と었が[꼈]と半母音化した形です。
②어유, 시끄 (러워→[러]). わあ、うるさい。
→시끄러워の러워の우が脱落した[러어]が、更に同一の母音어が脱落し[러]になった形です。 |